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Showing posts from April, 2021

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 Brush Ur Opalescent Hair オパール色の髪をとかして   オパール色の髪を持つ子供がいた。母親は幽霊専門医と保育室を兼任するほどの明るさを持っていたので、子供の中にも悪人がいることをすっかり忘れた1日があった。その日オパール色の髪の子供は、板に車を付け器用に走らせたがその姿が気に入らない教師が、クルクル回る車を蹴り上げた。悪人達は笑い髪を引っ張った。オパール色の髪の少年は怒りを知らずにいたので戸惑い、悪人達と同じように笑った。 その日からオパール色の髪は、一本ずつ黒くなり金色になり、暗くなり白くなった。 裏庭から続くパゴタの階段を登り吐く息と髪が混じり合った時蝋燭の炎が紫とオレンジに揺れ脚を真っ直ぐに踏み出した。 ふたつの炎は真っ直ぐに伸びてドラムの音が鳴り響いた。後になって気づく感情をしっかりと感じ始めた時少年の髪はオパール色に戻った。季節は春だった。 少年は長い手紙を書き、ガラス瓶に詰めた。雨降りの中海を目指し歩き出した。 どこもスピードが速すぎるので天とは関係なくただ軽いことでその界隈に馴染んでしまう。オロオロとひとりでいれば生きていけない。それでも良いとオパール色の髪の子供はまた真っ直ぐに炎を上げた。今や幽霊専門医にも保育士になるにも自分の心は熱すぎる。 そう考えるうちに、その熱は世界に散らばるガラスの粉を溶かしていた。 自分が持っていたはずの瓶も溶けて長い手紙は風の神に運ばれてしまった。 There was a child with opalescent hair. His mother was so bright that she worked as a ghost doctor and in the nursery, so there was a day when she completely forgot that there were evil people among the children. That day, a child with opalescent hair attached wheels to a board and dexterously rided on it, but the teacher, who didn't like his appearance, kicked the spinnin

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 Bath with wood vinegar, roses お風呂と木酢液、バラの花   宝石商も良く人々から怪しまれるが、歴史上怪しい人間がどの職業にもいたので、人生の中で恐ろしい人間を避けて通ることはほとんど不可能だった。ただ目が合うまでは逃げきれないこともないが、目が合った瞬間に息苦しさの素がその人物だと気づくのである。 大抵は想像できず、言葉では言い尽くせない悪臭を放っている。とうとうと嘘をついたり頭が痛いなど具合が悪いふりをして同情させるが、こちらが諦めて立ち去ると、悪臭の素をひとつづつポケットから取り出し、番号をつけ始めるのである。 さて、幽霊達はこう言った悪党に重婚されたり、騙されたり、子供を取られたりした場合が多かった。息苦しさが恋だと思うこともあった。こうした勘違いは嫌なものだ。 幽霊達に乳母の夫は暖かい風呂を用意して木酢液とバラ、森の泥を入れた。幽霊達に好まれるのは薬草ではなくお湯自体だった。素直に湯に浸かるとひとりひとり幽霊たちはノイズののらない水彩画の音、そして湯は渦を巻き泣き声のような音を立て始めた。 つい乳母も乳母の夫も手を差し伸べそうになったが、ただゆっくりおやすみと心の中で言った。朝日が登るまでに手のひらサイズの本が幽霊達の身体から次々出てきた。 Jewelers are also often regarded with suspicion by people, but since there have been suspicious people in every profession throughout history, it was almost impossible to avoid the horrible people in our lives. It's not that you can't get away from them until you see them, but the moment you do, you realize that they are the source of your suffocation. Most of the time, it is unimaginable and has an unspeakable stench. They lie and pretend

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Collide with ghosts 幽霊達との衝突 小さな王様は目を覚ましてはいたが、誰か来るまでここで寝ていてやろうとおもっていた。山車を支えていた象はここまで走って来るだろうか。 こう頭を下に脚が上がった体勢で呼吸するとふと自分はいつも何故退屈なのか、身体を鍛えたり整体にいったり自分自身にしか興味のない事を恥ずかしげもなく晒してしまっていたのか気づきそうになった。そして記憶喪失を装うのもいいと思ったその時乳母の夫が王の脇を抱えて起こした。そのあとを十二人ほどの家来がついてきており大きな織物で王を包むと素早く城に連れて帰った。 小さな王様はやはり好かれてはいなかった。声はよく通ったが人真似で、普段はカサカサと早口で話を終えた。小さな王様が城に戻ったと同時に幽霊達はカヌーに乗り国の湖をかき混ぜた。霧が立ち込め時間はますますゆっくりと流れた。 こうなると小さな王様は少し離れた国の王女が憎くなってきた。誰かを置き去りして良いのは自分だけのはずだった。幽霊達は自分がこの国の住人でよかったと心から思っていた。国中の水はモノクロになり湧水であろうが浮かぶ落ち葉は動かなくなった。 嫌な予感がした乳母と夫はトケイソウの蔓と葡萄の蔓にラベンダーを編み込みリースを作った。乳母の夫の父親は幽霊専門の医者だった。幽霊という病は人間がいなければ治らないものだった。ただ人間をどんどん弱らせ幽霊にしてしまうので、幽霊医になるには心底明るい人間という資質がいるのだった。幽霊達は大抵は本棚に入ったことで症状を悪化させていた。本物のカルトに入信してしまう幽霊もいた。父親の仕事を側で見てきた乳母の夫は自分は幽霊医になるのは無理だと思ってしまった。 乳母とその夫の嫌な予感は当たり、小さな王様の憎しみに共鳴した幽霊達が城の中に入ってきた。リースを見つけ髪に飾り動きを止めたものもいたが、姫の石像にのり移ろうとするもの、馬小屋に住もうというもの、まずは台所でお茶を飲もうというものもいた。 乳母の夫はたまらず「痛い!」と叫んだ。 その声を聞き幽霊達はより透明に近くなったが、消えたわけではなくぞろぞろとこちらへ向かってきた。 乳母はセージを焚こうとしたが、夫はそれを止め心地の良いソファーを並べた。幽霊達はひとりひとり身の上相談を始めたのだった。 The little king was awake, but h

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AMA deep sea diver 深海に潜るひと 海女が一緒に出かけたいと思う相手には必ず狂犬病にかかったことのある姉がいた。 大抵は都会育ちだから本当にどこの国もどうかしているのである。 海女は以前、宝石商の弟子として働いていた。きれいなものに囲まれていないとてんかんの発作が起きる。それでもついに疲れ果てなん度も海に潜り珊瑚やイソギンチャクの死骸を拾っていた。真珠は人魚たちにはありきたりで好まれず、海の底では人間用にと準備されていることを知った。一日 2 時間 17 分だけ働いた。そして空いた時間は狂犬病にかかったことのある姉のいる相手と出来るだけ何もせずその心をみるように過ごした。 建物の窓は外れて本棚のようになっている。 子供達はこの本棚の中で体操や美しく踊ることを習った。小さな王女と同じ年頃の日に焼けた女の子が教室でひとり膝を抱え、目線を床から離さなかった。 先輩達がこう噂していた。「誰かあの先生の悪口を言うものがいたら私だけがあの部屋に入って伝えにいかなければいけないのよ。」「わるぐちって。」「写真を撮るひともいるでしょ。」「みなゆうめいなのよ」 風の神や火の神は出来るだけ広々とした場所を好んでいたのでもちろん評論家に出会うことは少なかったが、本棚のようになってしまった建物を嘆いていた。そのせいである建物の裏側で風が小さな竜巻を起こし火を起こした。 著名な写真家は奇妙に、大声で「わかりました」と神々に言った。 何故人間が増えすぎると問題が増えるのだろうか。 何故人が多くても困らない場所があるのだろうか。 AMA the divers wanted to go out with someone always had a sister who had had rabies. Most of them are city-bred, so every countries are really out of their control or minds everywhere. Ama used to work as an apprentice to a jeweler, and if she was not surrounded by beautiful things, she would have epileptic seizures. Even so, sh

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   P. xuthus.. 蝶の名前 悲しい歌はいつも争いのもとだった。歌を歌う者に対してはどんな事情も聞き出していいかのような風潮があり、不幸な人はそれを知りたがった。同情するように見せ質問をするが、相手にすこしの尊敬も無かった。それが理由で歌う人間達は自虐的に話そうとするけれど、そのせいで地殻はギシギシと音を立てた。ついには歌うのをやめ手話を習うようになってしまう。声は醜いと思うからだったがその考えは間違っていた。 そういった人間を側で見続けた檸檬の木に生まれたさなぎは時を待っていた。人間に関わることは死を意味したが運が良ければ自分が何者かはっきりと名前をもらえることもあった。それほど清々しいことがあるだろうか。 人は他人の仕事を何かに例え自分の記憶に滑り込ませるが、蝶はそうならない様にまったく新しいものを作らなければならないと賢明であった。そう言った賢明な出来事はだいたい誰も知らないものなのだった。 蝶は羽音を立てられる日が来たと同時に、都会を捨て保養地に向かった。都会は埃っぽくおもちゃばかりが喜ばれるので、世捨てびとの居場所は年々減っていた。保養地のベンチは檸檬の香りがした。 砂糖を食べると肌色がくすむと人間は言ったが、蝶には関係なく、シロップを舐めた。また光もいつも蝶を照らしていた。 落ちることがないのはこんなに良いことか。 山の神が歌う歌をそのまま歌った。 今日は特別な日 海の王は石を拾わせる 今日の歌は昨日の夢 また怒っているよ 空っぽは怖いよ あなたの髪を撫で褒める人がいるよ 会いたいよ 今日は特別な日 知っているよ そのアゲハは自分がナミアゲハだと言うことを知った。 でもそれはなんとなく自分の名前ではない気がした。 Sad songs were always a source of a  kind of  fray. There was a tendency to think that anyone who sang a song could find out anything about it, and the unhappy people wanted to know about it. They would ask questions, appearing sympathetic, but without the slightest res

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Don’t put it in the box 箱にいれないで 少し離れた国の王女は蜘蛛がまぶたに足先をかけた瞬間に目を覚ました。身体に痛むところがないので自分は死んだのだと思い歩き出した。 夏の森は涼しくちょうど天国のようだったのだ。白く塗られた二階建ての家を見つけた。切長の目をした若い女が王女を笑顔で招き入れた。ヒースのお茶と餡子を包んだ蒸団子を振る舞われ、王女は全ての重責から逃れ湯の湧く音もはっきりと聞いていた。 切長の目の女はしばらくすると小さな箱にりすの赤ちゃんを見せてきた。王女は生き物を飼うことを許されていなかったので初めて手のひらに温かな重みを感じて嬉しくなった。そして自分はまだ生きていると思い直した途端こんなところにいてはいけないという視線を感じ席を立った。切長の目の女は悲しそうであったが、そのまま栗鼠の赤ちゃんを受け取り箱にしまった。 王女の瞳は左右違ったものだった。砂漠の夜と夕焼けで照らされた岩の影といった微かな違いだが、自分の顔を見るたびに揺らぐ黒にいつも先を越されていた。王女は瞳の意思に沿って生きていたのだ。多くの人は自分の目は自分自身だと思うだろうが、ある種の人にとっては瞳が自分よりも歳を重ねていて、知恵を持っていることがあったのだ。 王女は才女という言葉を使う人を疑った。王女というものは才能のないものがいない環境にいつもいて、「才女」と取り立てていうからには何か切り分けて売り出されるケーキのような感じがしたからだ。 王女は資本主義的発想には敏感だった。それは昔話だとはいえ女性の歴史を知っていたからだ。 自分の脚がしっかりと地面を掴んだ今、少し離れた国の王女は白く塗られた二階建ての家を再び尋ねた。 2 杯目のお茶は遠慮したが栗鼠を見せて欲しいと切長の目の女に言った。 返事もそこそこに箱を王女に差し出し、そのふたを開けた。 王女の瞳の色は入れ替わり時間を遡りそして真っ直ぐに小さな命をとらえた。王女は「違う」とだけ言った。ほんの数時間でりすの赤ちゃんは息耐え、切長の目の女は代わりのりすを見つけて箱に入れていた。 少し離れた国の王女は初めて自分が殺した魔女たちの声を聞いたのだった。 A princess in a country a short distance away woke up the moment a spider ran its t

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Eyes Pearl Inlays 螺鈿の目 小さな王様にはまだ小さな娘がいた。帝王学を学ばせるか学ばせないか悩むまもなく娘は自分が特別だと思い込んでいたので、人の話はじっと聞くべきだと思っていた。それがどんなに馬鹿らしかろうが、それをそのまま出したり、父親である小さな王様のようにどうでも良いなどと言って遮ることは身を滅ぼしかねないと知っていた。 馬鹿らしい話は時間の無駄だが、父親のように断罪するほとんどの人間は影でいかにも時間の無駄という秘密を抱えているものということも娘は知っていた。時には恥を晒すかのように振る舞うが、それは本当の自惚れで人間は他人の自惚れには不思議と気づいてしまう物だった。 運命は決定づいているのではなく、やはり自由ではないかと思い始めていた。 自分が生まれたのと同じ年に画家の叔父が保養地に逃げたと乳母が休憩室で噂していたのを聞いたからだ。乳母の夫は薬草に詳しく多くの人を助けたが、乾燥させたキノコを飲みすぎていつも考えが偏っていた。娘は警戒しつつ乳母に消えた叔父についてたずねてみようと思った時、乳母の夫がこう言った。 「彼の目は螺鈿のように妙に光っているんだよ。この白目の部分。」 小さな娘は想像しただけでゾッとし、もう叔父のことを考えるのはやめた。 もうひとつ小さな娘が自由がいつも危険な雰囲気を伴っていると感じてしまうのにも理由があった。今は天国にいる母が子供の頃光る水面を見て、あそこで泳ごうと決め誰にも言わずその光を追い川に入るとそのまま川底の砂は形を変えて深くなり、彼女の体を支えるものは何も無くなったかのようになったと言うのだ。水は重力を持って自分を連れ去ろうとする。そこにふと感じた自由がなんの意味を持つのか。印刷して売るためなら自分には必要ないであろうと感じていたが、その時の体温は下がり心も冷たくなっていた。 The little king had a little daughter . Before he could even think about whether or not to let her learn imperialism, his daughter thought she was special and that she should listen carefully to what people had to say.

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Butterfly SANg 蝶が歌った 山師たちは何故か山を嫌っていた。山岳信仰や熊の神、良い香りのする白檀のペンなどは特に身の毛がよだつほど嫌っていた。山の奥でぼんやりと光る月も同様に彼らを嫌な気分にさせていた。 ふたりが愛したのはパラソルや波の音だった。時にラジオの電波などガヤガヤした雰囲気には浮かれて無邪気な様子で聞き入るのだったが、街や都会と言うものもいつも疑っていた。 このふたりの山師のうちひとりは女王によく似ていた。真っ直ぐな髪を肩下まで伸ばし誇っていたが不思議とその髪を美しいと言ってくれる人は居なかった。寂れた保養地で人々を相手に不思議な写真を撮り、どうしようもない悩みに答えを出せると嘯き金を稼ぐのが日々だった。 カーテン裏で湯気がたつように大鍋をグラグラ沸かしていたり、時には山の氷でガラスを曇らせると言う、手間という手間も一応かけていたが、それでも詐欺の部類だった。 そんなある日、蝶々が不思議な歌を歌い出した。 今日は特別な日 海の王は石を拾わせる 今日の歌は昨日の夢 また怒っているよ 空っぽは怖いよ あなたの髪を撫で褒める人がいるよ 会いたいよ 褒められることは本当に知らないことだったので、好奇心だけで山師のひとりは山の麓に向かったのだった。そこで落ちてきたのが小さな王様と王女だった。髪をほめてくれるどころか気を失っていてもなんとなく偉そうだったので、腹の立った山師は服を剥ぎ取ったのだ。そして蝶の歌はまったくの出鱈目だったのだと思い、急いで保養地に戻ったという訳だった。 For some reason, imposters disliked mountains, especially mountain worship, bear gods, and sandalwood pens that smelled so good that it made their skin crawl. The moon shining dimly in the depths of the mountains was equally disgusting to them. They loved the parasols and the sound of the waves. Sometimes they would listen to the buzz of the

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  Lessons 昔話風的教訓 小さな山車 昔、ある小さな国に小さな王様がいた。 子供の頃から情にもろい親をみくびっていて、自分の計算高さを頭の良さだと勘違いしていた。もちろん損得感情は人間に備わっている自然な感情なので人間はこれをやめ、乗り越えなければいけないが、とにかく甘やかされ許されてしまったこの小さな王様は、周りにいるものは皆初めから自分に何か捧げる事が当たり前だと思っていた。それで常に周りに目を光らせ役に立ちそうなものがあれば進んでそのもの達を城に呼び、ちょうど自分がしつらえようとしている城のあちこちや、着物の手配など、無理難題を相手が簡単にはできないことを責めつつ国の者たちを使い続けた。 そんなある日小さな王様は自分が立派にみえるような山車が必要だと考え四人ほど職人を呼びつけた。まず土台の木材を組み立てる職人とそれを止める金具を作る職人、そのあと木材に神々や動物の彫りものをする職人と花飾りを作る職人が城に集められた。 王様は職人達に向かい威厳のある言い回しでこれは名誉な事なのだと言って山車を作らせた。そんな中、金具を作る職人だけははふと自分の仕事はここにはないと思った。こんなことをするくらいなら家で歌っていたい。 大工が古いタイプの職人であれば、組み木的なもので伝統的なものが作れるはず。そうすると腕の良い職人は組み木もできるが、どうしても金具で作れと小さな王様はがなり出した。普段から誰かの小さな言い間違いや小さな秘密を握っていた小さな王様の圧は強く、さもいかがわしい秘密があるかのようのに、自分がいかに素晴らしく職人たちがちっぽけで卑しいかのように思わせ働かせようとした。そのうえ職人たちになにもお礼をするつもりさえなかったのだ。 (WTF) 金具職人は少し諦めなんとか山車が素敵になり、国の人たちが観て喜んでくれればと思い直し三人の職人と共に仕事に取り組むことにした。自分の仕事は目の前にいる誰かのためだけに行われるためでは無いことも、金具職人は知っていたのだ。 山車は美しく仕上がり小さな王様は、自分が集めた職人の仕事を自分のものだと思い、山車にのる自分の姿に酔いしれていた。心の奥は空洞であったが忘れてしまっていた。 そうこうしているうちに、少し離れた国の王女がこの小さな王様の山車のはなしを聞きつけ、自分も是非その山車に乗りたいと考え出した。 王女は魔法が使