II Butterfly's song

山師たちは、なぜか山を嫌っていた。山岳信仰や熊の神、良い香りのする白のペンなどは、特に身の毛がよだつほどに嫌っていた。山の奥でぼんやりと光る月も、同様に彼らを嫌な気分にさせていた。ふたりが愛したのは、パラソルや波の音だった。時にラジオの電波などガヤガヤした雰囲気には、浮かれて無邪気な様子で聞き入るのだったが、街や都会と言うものも、いつも疑っていた。

このふたりの山師のうちひとりは、その国の王女によく似ていた。真っ直ぐな髪を肩下まで伸ばし誇っていたが不思議とその髪を美しいと言ってくれる人は居なかった。ふたりは寂れた保養地で、人々を相手に不思議な写真を撮り、どうしようもない悩みに答えを出せると嘯き、金を稼ぐのが日々だった。

カーテン裏で、湯気がたつように大鍋をグラグラ沸かしていたり、時には山の氷でガラスを曇らせると言う、手間という手間も一応かけていたが、それでも詐欺の部類だった。

そんなある日、蝶々が不思議な歌を歌い出した。


今日は特別な日

海の王は石を拾わせる

今日の歌は昨日の夢

また怒っているよ

空っぽは怖いよ

あなたの髪を撫でめる人がいるよ

山においで


褒められることは、本当に知らないことだったので、好奇心だけで山師は山の麓に向かったのだった。そこで落ちてきたのが小さな王様と王女だった。髪をほめてくれるどころか気を失っていてもなんとなく偉そうだったので、腹の立った山師は服を奪いとったのだ。そして蝶の歌はまったくの出鱈目だったのだと思いながら、急いで保養地に帰って行った。


Sakiyo

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