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幽霊たちとの衝突 I


小さな王様は目を覚ましてはいたが、誰か来るまでここで寝ていてやろうとおもっていた。

山車を支えていた家はここまで走って来るだろうか。」とつぶやいた。

こう頭を下に脚が上がった体勢で呼吸すると、ふと自分は何故いつも退屈なのか、身体を鍛えたり整体にいったり、自分自身にしか興味のない事を恥ずかしげもなく晒してしまっていたのか、気づきそうになっていた。そして記憶喪失を装うのもいいと思ったその時、乳母の夫が王の脇を抱えて起こした。そのあとを十二人ほどの家来がついてきており、大きな織物で玉を包むと素早く城に連れて帰った。

小さな王様はやはり好かれてはいなかった。声はよく通ったが人真似で、普段はカサカサと早口で話を終えた。小さな王様が、城に戻ったと同時に幽霊達はカヌーに乗り国の湖をかき混ぜた。霧が立ち込め、時間はますますゆっくりと流れた。

こうなると小さな王様は、少し離れた国の王女が憎くなってきた。誰かを置き去りして良いのは自分だけのはずだった。その言葉が聞こえると、幽霊達は自分がこの国の住人でよかったと心から思っているようだった。全ての水面はモノクロになり、湧水であろうが、浮かぶ落ち葉は動かなくなった。

嫌な予感がした乳母と乳母の夫はトケイソウの蔓と葡萄の蔓にラベンダーを編み込みリースを作り始めた。乳母の夫の父親は幽霊専門の医者だった。幽霊という病は、人間がいなければ治らないものだった。ただ人間をどんどん弱らせ幽霊にしてしまうので、幽霊医になるには、心底明るい人間という資質が必要だった。幽霊達は大抵は本棚に入ったことで症状を悪化させていた。本物のカルトに入信してしまう幽霊もいた。父親の仕事を側で見てきた乳母の夫は、自分は幽霊医になるのは無理だと思ってしまった。

乳母と乳母の夫の嫌な予感は当たり、小さな王様の憎しみに共鳴した幽霊達が城の中に入ってきた。リースを見つけ髪に飾り、動きを止めたものもいたが、姫の石像にのり移ろうとするもの、馬小屋に住もうというもの、まずは台所でお茶を飲もうというものもいた。

乳母はたまらず「痛い!」と叫んだ。

その声を聞き、幽霊達はより透明に近くなったが、消えたわけではなく、ぞろぞろとこちらへ向かってきた。

乳母はセージを焚こうとしたが、乳母の夫はそれを止め心地の良いソファーを並べた。幽霊達はひとりひとり身の上相談を始めたのだった

Thank you soooooo much for looking through this.

I hope you are well ♡

🦣💛💜🐘

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